出典:https://www.ghibli.jp/works/tanuki/#frame&gid=1&pid=5

「平成狸合戦ぽんぽこ」のあらすじと、映画にこめられた高畑勲のメッセージをご紹介します。


世界で最も有名なアニメ監督である高畑勲。高畑勲は数多くの名作を生み出してきました。


「平成狸合戦ぽんぽこ」も、高畑勲が生み出した名作の1つ。


映画を読み解くと、見えてきたのは高畑勲の思いです。


ではどんな思いを高畑勲は映画に残したのか、「平成狸合戦ぽんぽこ」のネタバレもあわせてご紹介します。

■登場狸物紹介

・正吉

人間に強い興味を持つ若狸。変化の術が得意で、若狸達の中でも技術は上。


自分の実力におごることなく、穏やかな性格をしている狸。


後におキヨと結婚して、子供をもうけます。

・おキヨ

正吉のガールフレンド。


後に結婚して夫婦となります。


祖父は人間に撃たれて絶命するも、高級毛皮になったことに誇りを持つ前向きな性格。


・権太

武闘派狸。


多摩の自然を壊す人間を1人残らず排除しようと企みます。

■「平成狸合戦ぽんぽこ」のあらすじネタバレ!

自分達の住処を守るため、人間に戦いを挑む狸達!


果たして狸達は人間を追い出し、自然を取り戻すことができるのでしょうか?


「平成狸合戦ぽんぽこ」のあらすじをネタバレありでご紹介します。

起:人間の乱入!自然の崩壊

かつて狸達は、悠々自適な暮らしをしていました。自然豊かな場所で、人間達との関係も良好です。


ある日のこと、狸が住む多摩に開発の手が忍び寄ります。


開発は恐ろしい早さで進み、狸達の居場所を根こそぎ奪い取りました。


残り少なくなった住処をめぐり、狸同士で争いも勃発!しかし、狸同士で争っている暇はありません。


狸達は争いをやめ、万福寺の狸和尚である鶴亀和尚をリーダーに置いて一致団結。


人間VS狸のあくなき戦いが始まりました。

承:化け学復興

出典:https://www.ghibli.jp/works/tanuki/#frame&gid=1&pid=20

人間との戦いに備え、狸達は化け学習得に励みます。


化け学とは全身の細胞を変化させて、狸とは違うモノに変わるものです。


狸達は次々と化け学を習得しますが、中には化け学が習得できない狸の姿もありました。


化け学に最も秀でていたのは、若狸の正吉です。正吉はガールフレンドのおキヨと共に、多摩開発工事の関係者を脅しました。


2匹の働きは功を奏し、ニュースにもなるほど。


しかし後日別の人間が派遣されるだけで、工事中止には至りませんでした。


多摩の狸達が得た化け学だけでは、多摩の開発をとめることは不可能です。

転:妖怪大作戦の決行

四国から三匹の長老狸がやってきました。


いずれも「神様」としてあがめられている狸で、化け学にも通じています。


三匹の狸が提案したのは「妖怪大作戦」!


妖怪に変化して人間を脅し、多摩開発工事を中断させようというものです。


ただし大作戦遂行は命懸けで、犠牲者ならぬ犠牲狸が出ても不思議ではありません。


それでも、狸は自らの命をかけて妖怪大作戦を決行!


しかし妖怪大作戦は人間を騒がせるだけで、効果はなし。


長老狸の一匹である隠神刑部は志半ばで倒れ、太三朗禿狸はショックのあまりに朦朧とした状態に…。


残りの狸達は戦意喪失。


狸達に戦う術は、のこされていませんでした。

結:狸のささやかな思い

出典:https://eiga.com/movie/39294/gallery/5/

人間との戦いにより、動ける狸はほんのわずか。


残された狸達は総力を結集し、多摩に自然を蘇らせました。


多摩に自然が蘇ったものの、再び人間の手で破壊されます。


人間の手によって破壊されることは、のこされた狸達は承知の上です。


自然復活は、狸のお遊びでした。


戦いが終わり、狸達は町田へと引っ越します。


変化できる狸は人間に化けて、サラリーマンとして働いていました。


そして人間に化けることができない狸は、人知れずゴルフ場で宴会。


宴会に参加していたポン吉は、最後に映画を見ている人に語りかけます。


「開発が進んで動物達が姿を消したとTVで流れていますが、やめてくれませんか?狐や狸は化けられますが、ウサギやイタチはどうです?自分で姿を消せます?」

■「平成狸合戦ぽんぽこ」の見どころと裏側!声優が凄すぎる

「平成狸合戦ぽんぽこ」の見どころと裏側を丸裸にしてみました。


豪華過ぎる声優陣や、妖怪パレードに隠された高畑勲のトリック。


そして、高畑勲が映画に込めた思いについても取り上げます。

・人間国宝も!?豪華過ぎる声優陣

「平成狸合戦ぽんぽこ」は、昭和の名優や人間国宝の演技が堪能できる映画の代表格かもしれません。


狸を束ねるおろく婆さん役には、昭和を代表する喜劇女優である清川虹子。


隠神刑部役には、名優の芦屋雁之助。


太三朗禿狸役には、上方落語の重鎮中の重鎮である5代目桂文枝が担当。


さらに、鶴亀和尚役に柳家小さん。


六代目金長役は桂米朝が担当。


2人とも人間国宝です。


声優陣が豪華過ぎて、意味がわかりません!

・妖怪パレードに潜んでいたのは?

狸が一世一代の大逆転を狙って挑んだ妖怪パレード。

トトロや魔女の宅急便など、ジブリでおなじみのキャラクター達も参加していました。


妖怪パレードで注目したいのは、ジブリ以外の妖怪達です。


パレードには妖怪の百鬼夜行、狐の嫁入り、鳥獣戯画を思わせる描写があります。


3つに共通しているのは絵巻物です。


高畑勲は絵巻物に造詣が深く、絵巻物に関する本も執筆しています。


妖怪パレードには絵巻物の要素が凝縮。高畑勲のこだわりが色濃く出たシーンとなりました。

・高畑勲が作品に込めた思いとは?

「平成狸合戦ぽんぽこ」のテーマは、一見すると自然環境を取り扱ったように思えます。


自然破壊も視野に入っていたのは事実ですが、本当に伝えたかったのは、自然に住む者の存在です。


自然に住む者の存在については、映画の最後のセリフで訴えていました。


人間は自然に住む動物達の存在に気が付かず、自然破壊を繰り返しています。


動物達が姿を消したのは、人間の仕業です。


自然破壊に踏み切る前に、自然に住む者の存在を思い出してほしいというのが、高畑勲の思いでした。

■まとめ

本来、狸は臆病な性格をしています。人間と戦うのは恐ろし過ぎて、逃げ出したい気持ちもあったでしょう。


縄張りによそ者が乱入しても、追い出すことはしません。


そんな狸達が戦おうとした理由は、自分たちの存在を人間に知らせたかったのでしょう。


自然に住む者の存在は、しっかりと噛みしめたいものです

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